人と比べて苦しくなるのはなぜ?──HSPと“自分軸”の心理学
人生は、さまざまな場面で人との比較をするものです。
仕事、収入、見た目、家庭……。
私たちは、他人と自分を比べることで「社会の中での自分の位置」を確かめようとします。
けれど、その比較が自分を苦しめる原因になっていることも少なくありません。
特にHSP(Highly Sensitive Person)の人は、他人の表情や成果に敏感で、
自分を過小評価しやすい傾向があります。
SNS時代に加速する「比較の苦しみ」
SNSは多くの人にとって、他者へ情報発信することで自己顕示欲を満たすための装置となっています。
そのため、他人の「見せたい瞬間」を目にすることが多く、比較による不幸が生まれやすくなります。
こうした状況は心理学的に**「比較による認知のゆがみ」**にあたります。
「他人がすごい=自分は劣っている」という極端な二分法的思考です。
これが積み重なると、自己肯定感を大きく削ってしまいます。
私も過去にSNSを四六時中見てしまっていました。完全な依存状態です。
自分の生活には劇的な変化がない平凡な毎日なのに、他の人には幸不幸に関係なく何か変化があるのではないかと気になって仕方がなかったのかもしれません。
その結果、多くの時間を失い、他者との比較で自己肯定感も低下していました。
そのような依存状態に気づき、現在はSNSを情報収集以外で見ることはほとんどなく、見る必要性も感じていません。
認知行動療法とのつながり
人はつい他人と自分を比べて落ち込むことがあります。
しかし、比較する対象を昨日の自分に変えてみると、小さな成長に目を向けられるようになります。
私は常日頃から、「昨日の自分と比較して、今日の自分が少しでも成長していればいい」という考え方をするようにしています。
この考え方は心理学の学びの中で身についたもので、実は**認知行動療法(CBT)**の基本姿勢と同じです。
認知行動療法では、物事の捉え方(認知)が感情や行動に影響すると考えます。
苦しみを生む考え方に気づき、それを**柔軟で現実的な思考に置き換える(認知の再構成)**ことで、心をラクにすることができます。
「昨日の自分」と比べる意味
他人と比べるのではなく、昨日の自分と比べてみましょう。
・昨日より少し落ち着いて話せた
・今日は無理せず休めた
・失敗しても自分を責めすぎなかった
こうした小さな変化を意識することで、自己肯定感を静かに回復させることができます。
さらに、私は日記で毎日の行動や気持ちを記録し、点数化しています。
例:
- 落ち着いて話せた → 8/10
- やりたいことを少し進められた → 7/10
数値化することで、目に見えない小さな成長も確認でき、自己肯定感を具体的に実感できます。
私自身の体験から
私は長い間、他人との比較の中で生きてきました。
周りの人ができていることを、自分ができていないと感じるたびに、焦りや劣等感が募り、自分を責めてしまうことも多くありました。
しかし心理学を学ぶ中で、**「本当に比べるべきなのは他人ではなく、昨日の自分」**という考え方を身につけることができました。
「昨日の自分より今日の自分は少し成長できた」と感じる行動を意識することが大切です。
うまくいかない日もあります。
でも、昨日より少しだけ落ち着けたなら、それも成長。
昨日より一つでも優しくなれたなら、それも進歩。
昨日よりやりたいことを少し進められたなら、それも成長です。
このように考え、記録することで、少しずつ心が軽くなっていきました。
おわりに
人と比べることで、自分を見失ってしまう時代。
だからこそ、「自分軸で生きる」ことが大切です。
昨日よりほんの少しでも成長した自分を認めること。
他人のペースではなく、自分の歩幅で進むこと。
それが、HSPの繊細な心を守りながら生きるための、最も穏やかで確かな方法だと思います。
