HSPのあなたへ――明日が不安な夜を穏やかに過ごすために
前日に訪れる「理由のない不安」
HSPの私にとって、翌日に仕事や用事があるだけで心がざわつきます。
体力がもつか心配になり、つい「なるべく何もしないでおこう」と行動を極端にセーブしてしまうのです。
これは体力を温存するためというよりも、心の不安を少しでも減らそうとする自然な反応でもあります。
頭の中で始まる「一日の完全シミュレーション」
私は翌日のスケジュールを、最初から最後まで頭の中でシミュレーションしてしまいます。
人と会う予定があると、その人とのやり取りまで細かく想像します。
- 「あの人にはあの話題を振ると喜ぶだろう」
- 「あの人は〇〇の話を聞いて欲しがるだろう。もし〇〇の話をしてきたらこう答えよう」
このように考えながら、心の中で“仮想の会話”を繰り返してしまうのです。
仕事前はさらに慎重になってしまう
仕事の場合はさらに慎重になります。
失敗する可能性が少しでもあれば、その対策を考えます。
様々な場面での失敗を想定するため、その分だけ対策も膨れ上がり、頭の中はどんどんいっぱいに。
結果として、最悪のシナリオを考えすぎて不安が増してしまうことも少なくありません。
100回に1回も起きないことに怯えている
HSPの私たちは、実際には起こる確率が極めて低いことにまで怯えてしまいます。
100回に1回も起きないようなことを想像し、そのたった1回のために心がざわつくのです。
この「ほとんど起こらない最悪の事態」に意識が向くことで、頭の中のシミュレーションがさらに膨れ上がり、不安や緊張が増してしまいます。
不安で眠れず、翌朝は寝不足に…
こうして前日の夜は、頭の中で最悪のシナリオを何度も再生してしまい、不安が増して眠れなくなることもあります。
そして翌朝、寝不足で目覚め、体力も気力も十分ではないまま一日を迎える――。
皮肉なことに、「翌日に備えるつもりの前夜の不安」が、実際には体力を削ってしまうのです。
それでも少しずつ、気づいていく
こうした経験を繰り返すうちに、少しずつ気づきが生まれます。
「実際には大したことは起きない」「思ったほど体力を消耗しなかった」――。
こうした現実の経験を積み重ねることで、前日に過度に不安になることが減っていきます。
頭の中の最悪シナリオが浮かんでも、「まあ大丈夫だろう」と切り替えられるようになるのです。
「これは取り越し苦労かもしれない」と意識する
この記事を読んでいるHSPの方に、ぜひ覚えておいてほしいことがあります。
この前日の不安やシミュレーションの多くは、圧倒的に“取り越し苦労”であるということです。
ですから、私と同じような状況になったときは、まずこう意識してみてください。
「これは取り越し苦労かもしれない」
そして、頭の中で最悪のシナリオを想像して不安になっても、
「実際には大したことは起きないことがほとんど」
と自分に優しく言い聞かせてみてください。
それだけで、心の負担はぐっと軽くなります。
自分の敏感さと上手に付き合う
HSPの敏感さは、過剰な心配やシミュレーションを引き起こすこともありますが、それは同時に「物事を丁寧に感じ取れる力」でもあります。
その感受性があるからこそ、人の気持ちに気づけたり、状況を先回りして支えたりできるのです。
だからこそ、まずはその敏感さを「悪いもの」と捉えず、「うまく扱うための個性」として受け入れてみてください。
自分の特性を理解し、経験から学びながら、前日の不安に振り回されずに、心と体を守りながら穏やかに過ごしていきましょう。
取り越し苦労に悩む自分を責めず、「大丈夫だった」という小さな実感を積み重ねていけば、確実に心は軽くなっていきます。
