HSPと睡眠 ― 考えすぎて眠れない夜の向き合い方

はじめに
「布団に入ると、頭の中で考え事が止まらなくなる…」
「眠らなきゃと思うほど、ますます目が冴えてしまう…」
もし、そんな夜を経験したことがあるなら、あなたは一人ではありません。
特にHSP(Highly Sensitive Person:繊細すぎる人)の多くが、感受性の高さゆえに、夜に思考がぐるぐる回って眠れなくなることがあります。
私自身もそのタイプで、布団に入ると心が整理できず、眠れない夜を過ごすことがよくあります。
私が実践している工夫
眠りにつく前に携帯を見ないようにしたり、日記にその日の思いや考えを書いて整理したり、気になったことはメモして翌日に回すようにしています。
生活リズムもできるだけ整え、決まった時間に寝て決まった時間に起きるよう心がけています。
それでもやはり「考えすぎて眠れない夜」は訪れます。
眠れなかったある夜のこと
ある晩、布団に入ったとたんに、昼間のちょっとした出来事が頭をよぎりました。相手に言った一言を「自分が悪く思われたのではないか」と繰り返し考えてしまい、気がつけば30分以上同じ思考をぐるぐる。
そのとき、私は逆に布団から出て一度起き、「とりあえず今出せる結論を出す」ことにしました。完全に納得できる答えでなくてもいい。ひとまず自分なりの区切りをつけて、残りは「明日の自分」に考えてもらおうと、メモに書き留めました。
すると頭の中が少し整理され、「いまは眠る時間だ」と気持ちを切り替えやすくなりました。最終的に自然な眠気が戻り、眠りにつくことができたのです。
心理学・睡眠医学の視点
実はこの方法は、睡眠医学の分野でも「刺激制御法」として知られています。ポイントは、ベッドを「眠れない場所」にしないこと。眠れないままベッドで考え込むと、脳が「布団=考える場所」と学習してしまいます。逆に眠れないときに一度起きることで、「布団=眠る場所」という学習を強められるのです。
さらに心理学的に見ても、「眠らなきゃ」という思考はプレッシャーとなり、不安や緊張を高めてしまいます。そこで一度手放し、「眠れないなら起きてもいい」と認めることが、心の余裕につながります。
実践のポイント
- 20分以上眠れなかったら起きる(時計は見ないほうがよい。感覚で「眠れないな」と思ったらでOK)。
- リラックスできる行動をする(蛍光灯は避け、間接照明や豆電球の灯りで。音楽を聴く、カフェインレスの温かい飲み物、軽いストレッチ、本を少し読むなど)。
- 眠気が戻ったら布団に戻る(「眠る準備ができたら寝床へ戻る」を繰り返す)。
- 思考が止まらないときは、結論を出してメモに残す(「今はここまで」「続きは明日の自分に任せる」と区切りをつける)。
まとめ
HSPの人は感受性が高いため、日中の出来事や気持ちを振り返りすぎて、夜に眠れなくなることが少なくありません。そんなとき、「眠れない夜をどう受け止めるか」が睡眠の質を左右します。
無理に眠ろうとするよりも、「自然に眠れるタイミングを待つ」こと。そして、考えすぎてしまうときには「とりあえずの結論」と「明日の自分へのメモ」で心に区切りをつけること。この二つが、安心して眠りに入る助けになるのです。